「勤務」することへの不安
施術者さんは「勤務」することに一定の不安を抱えています。採用前にこの問題点を解決できなければ、施術者さんは応募をしてこない、もしくは面接後の辞退、というケースもあります。求人を出す際や、面接を実施する際は、こうした施術者さんの不安を取り除いてあげる必要があります。
提示された条件は正しいのか?
ご参入を考えているオーナー様にとって、提示条件が違うということはないのは当たり前…と思っているかもしれません。しかし、徒弟制度で過ごしてきた業界において、入社後に労働条件が違った、ということは多く、最近は減ってきたとはいえ、そうした声もまだまだ聞こえてきます。時間や、給料…休日や有給休暇など、しっかりと提示しておきましょう。聞こえのいい条件だけを伝えると、後にトラブルの原因になります。正確に、業務内容や、規定についてお伝えください。そして採用時はこうした規定を読み合わせすることをお勧めします。なぜかと言うと『雇用契約』などについて、非常に曖昧な業界です。常識的に考えて、が通用しません。職人の世界で育っていますので、知らないことが多くあります。こうした点も、双方が確実に確認をすることが重要です。
やめられないのではないか?
業界内では、就職すると辞めにくい、という問題が実際に多くあります。これも徒弟制度の名残りかもしれません。後輩や弟子が、自分で今後の道を選択するということを良しとしない風潮がこのような雰囲気を作っています。実際に離職を推奨する、というわけではなく、そうした不安を取り除いてあげることで、スムーズに入社につながるケースや、長く勤めてくださる先生も多くいらっしゃいます。施術者側から、わざわざ口に出す方も少ないと思いますし、雇用する側も、やめ方までは説明しないとは思いますが、規約の読み合わせなどの際に、こうした背景や、感情をお持ちの施術者がいることを知っておくと、良いかもしれません。
雇われているという劣等感
雇用年数が長くなってくると、施術者が考えるのが『独立』。この独立については、さまざまな理由がありますが、独立開業して一人前という意識があります。雇用されていると、まだ一人前とみられていないというような思いをもったり、周囲が開業していく中で、自分だけ取り残されているような気分にもなることがあります。勤務でも活躍している施術者さんは大勢いますし、雇われていても院長先生を名乗る施術者さんもいます。こころ治療院でも、ステップアップ、キャリアアップをしている施術者さんがいます。こうしたキャリアの提示を、就職時や、就職中によく話してみると良いかもしれません。
安定を得るための不安
独立開業しても失敗する施術者さんも少なくありません。また近年は、安定志向もあり、雇用されることに抵抗のない施術者さんも多くなってきました。その中でも、安定したいが為の不安というのが生まれてきます。国家資格という特別な存在であるがための悩みといってもいいかもしれません。そうした不安を取り除き、また解消していきながら、雇用や雇用継続につなげていくことも、オーナー様の重要な役割となってきます。面接時は、こうした不安が見えにくいことがありますので、雇用後もよくよく施術者さんとコミュニケーションを図り、安心して、安定して働いていけるような環境をつくっていただきたいと思います。