「施術者」の前に「社会人」としての評価を
オーナー様と施術者の信頼関係。これが「訪問マッサージ」には欠かせません。現場に行く施術者さんと、オーナー様は、基本的には別の業務を行うことになります。信頼して業務を任せることが重要であることはご理解いただいていることかもしれませんが、施術者さんからの信頼も重要な要素になります。お互いの信頼関係を意識的に作らなければ、治療院運営はうまくいきません。なぜ国家資格をもつ施術者さんと、意識的に信頼関係をつくる必要があるのでしょうか。その理由をお伝えします。
興味を持ち、関係性を掴むことが難しい
こういうと極端ですが、技術職であり、職人気質もある「はり・きゅう・あんまマッサージ指圧」の施術者さん。良くも悪くも「自分」を持っています。自分の尊敬する先輩や先人は尊敬していますが、それ以外の人には興味が薄い傾向にあります。それに加え、社会経験が少ない施術者さんもいますので、オーナーや社長、マネージャーなどとの関係性が分からないこともあります。そうすると、関係性をうまく掴むことができないために、自分の立ち位置と、他社の立ち位置の違いがわからないので、「自分だけが頑張っている」というようなマインドに陥ることもあります。こうなると、施術者目線の主張が増えていきます。不満の原因は、実はこうしたところもあるので、処遇改善だけでは解決しないこともあります。
一人でやってると思いがち
鍼灸・マッサージの施術は、当然ながら自分一人で実施します。ですので、仕事は自分一人でするもの、という思いがあります。自分で完結することを前提に教育されている、ということもあるとおもいますが、他の人と連携する、協力するということに慣れていません。ですので、患者様のことは自分一人で完結することを目指し、報告や連絡ということを自分から行うことがありません。現場の対患者様だけの業務は一人でこなすこともできるので、尚更そうなっていく可能性があります。ここで、自分一人でやっていると思ってしまうと、これも施術者さんの不満につながります。「これだけ売り上げているのに・・・」といった不満が出る背景には、こうした施術者さんの勘違いがあります。
距離感の掴み方がわからない
対人関係において重要な「距離感」の掴み方があまり上手ではない方がいます。患者様を施術しているのだからそうんなことはないでしょ?と思うかもしれませんが、患者様や施術者同士だと、普通なんです。それ以外の方との距離感の掴み方は苦手な方がいます。ここの「それ以外」にオーナー様が該当することがあります。これは、「施術」という共通話題がないことが原因なのではないかと思います。何をしている人かわからない、何を話したらいいかわからない、という状態であることもあります。当然ながらこの状態だと、良いコミュニケーションを図ることはできません。ここで重要なことは、オーナー様側が、この距離感をうまくコントロールしながら接していただくことだと思います。確かに簡単なことではない部分ではありますが、治療院を運営していくと、施術者さん特有の距離感を感じるようになると思います。そこで個々の施術者さんに合わせた「距離感」で接することができるかがポイントになってきます。
「施術者」の前に「社会人」としての評価を
面接の時に、まずみて欲しいのが、「施術者」としての評価の前に、「社会人」としてどうか。という点です。専門の技術職である国家資格者と共に進めて行く事業ですが、オーナー様が社会人として信頼関係を築けるかどうかをまずみて欲しいと思います。また、新卒の資格者さんは、こうした点において、良い意味で「無知」です。ここで各オーナー様、治療院様の教育がしっかりと行えると、長期に渡って信頼できる人材になっていきます。「施術者としての評価が難しい」というお声もございますが、技術的なことは、国家資格者ですので、最低限は身についておりますし、経験と共に身につくこともあります。サポートは本部でも行えることもあります。ですので、施術者としての評価の前に、「社会人として」「人として」どうかというところを評価頂きたいと思います。